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  • 弁理士が教える特許実務Q&A~警告書が届いた!どうしよう?~

    2020.6.26カテゴリー: ブログ

    【 質 問 】
     当社が販売している製品に対して、
    「自社の特許出願に抵触する」、「補償金請求権」などと
    記載されている「警告書」を受け取ったのですが、
    どうすればよいでしょうか?

    【 回 答 】
     今回のご質問のケースでは、特許権が成立する前の段階(出願公開後)で、
    特許出願人が、出願公開公報に掲載されている発明を実施している第三者に対し、
    将来的に補償金請求権を行使する可能性がある旨の警告書を
    送った場面が想定されます。

     特許出願は、原則として出願日から1年6ヵ月を経過すると出願内容が
    公開され(出願公開制度)、誰でも出願の内容を閲覧することができるようになります。
    そのため、出願人にとっては、出願公開が行われることに伴い、
    第3者により自己の発明が実施されるリスクが生じます。
     そこで、出願公開後に自己の発明を第3者に実施された出願人の不利益(損失)を
    補填するために、特許法は、補償金請求権制度を定めています(特許法第65条)。
     補償金請求権は、損害賠償請求(民法第709条)とは異なり、
    請求できる金銭の額が『実施料相当額』に限られている点が特徴です。
    そして、補償金を請求できる範囲は、第3者が警告書を受領してから
    特許権が成立するまでの実施行為に限られます。

     特許出願人が第3者に対して補償金請求権を行使するためには、
    特許権の成立が必須の要件なっています。
    したがって、特許出願人から警告書が送られたとしても、
    直ちに補償金請求権が行使される可能性は低いといえます。

     また、出願公開時と特許権成立時の発明(特許請求の範囲の記載内容)が
    必ずしも同じであるとは限りません。
    多くの出願は、審査の過程で権利内容を狭くする手続きを経て登録に至ります。
    また、全ての特許出願について特許権が付与されることもなく、
    一定数の出願は拒絶されます。

     したがって、補償金請求権についての警告書を受け取っても、あわてることはありません。
    「特許庁での審査の結果を待ちます」という旨の回答をすることも
    選択肢の一つとなり得ます。
    また、特許権が成立しないよう、先行技術文献を特許庁に提出して、
    審査に利用してもらい、権利化を阻止する策を講じることもできます(情報提供制度)。

     補償金請求権についての警告を受けた場合や、或いは逆の立場で、
    出願公開公報の発行後に自己の発明を実施している第三者を発見した場合には、
    専門家である弁理士に対応を相談することをお勧めします。

     参考として、警告書の記載内容の一例をお示しします。
    「御社が製造・販売されている○○は当社が特許出願し、その内容が別途の
    書留便でお届けする特許出願公開公報(特開○○○○-○○○〇号)の
    特許請求の範囲で特許請求している発明の実施品に該当します。
    そこで、当社の特許出願について特許庁での審査によって特許権が成立し、
    御社が製造・販売されている○○が特許権侵害品に該当することになった時には、
    この警告書をお届けした時点から特許権成立までの御社による
    ○○の製造・販売行為に対する実施料相当額を『補償金』として
    当社に支払うよう請求させていただくことになります。」


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