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  • 意匠登録とは

    2022.9.12

    意匠登録制度とは

    製品の外観や建物、アプリの画面などのデザインを保護するための制度です。
    意匠登録となったデザインは、意匠権者の許可なく勝手に使用することは認められません。

    万が一、第三者にデザインを勝手に使用された場合、意匠権者はその第三者に対して差し止めや損害賠償を請求することができます。

    このように、意匠が登録となれば他者は実質そのデザインを利用できなくなるため、登録が認められるには様々な条件があります。
    本ページでは、意匠登録にあたって基本的な条件を紹介しています。

    そもそも、「意匠」とは?

    意匠法の規定では、「「意匠」とは、物品(物品の部分を含む。以下同じ。)の形状、模様若しくは色彩若しくはこれらの結合(以下「形状等」という。)、建築物(建築物の部分を含む。以下同じ。)の形状等又は画像(機器の操作の用に供されるもの又は機器がその機能を発揮した結果として表示されるものに限り、画像の部分を含む。次条第二項、第三十七条第二項、第三十八条第七号及び第八号、第四十四条の三第二項第六号並びに第五十五条第二項第六号を除き、以下同じ。)であつて、視覚を通じて美感を起こさせるものをいう。」と記載されています。(意匠法 第一章 第二条 第一項)

    簡単にまとめると、

    条件1:①物品 ②建築物 ③画像のいずれかにあてはまるもの
    条件2:形状、模様、色彩あるいはこれらを組み合わせていること
    条件3:視覚性のあるもの
    条件4:美感性のあるもの

    上記の4点を満たすものが、「意匠」となります。
    上記4点について、以下で少し詳しく解説します。

     

    条件1:①物品 ②建築物 ③画像のいずれかにあてはまるもの

    ①物品
    「物品」とは、意匠法上の規定はないものの、民法の規定から、一般的に「動産であり、有体物(空間の一部を占めて有形的に存在するもの)であるもの」とされています。
    これに該当しないものは、例えば光線やにおい、液体などで、無体物と呼ばれています。
    形状が一定に保たれているもので、商取引されるものは、ほぼ物品に該当すると考えていいでしょう

    ②建築物
    民法の「物品」には、不動産は含まれないことになっているため、意匠法の規定では物品とは別に建築物の項目が記載されています。

    ③画像
    意匠法で規定される画像とは
    <1>電子機器などの操作のために使用されるもの
    <2>電子機器などが、その機能を発揮した結果として表示されるもの
    上記の2つのいずれかに該当する必要があります。
    例えば、スマートフォンアプリのレイアウトや、アプリのアイコン、ウェブサイトのレイアウト、テレビのメニュー画面のレイアウト、机に投射されるキーボード等が画像意匠に該当します。
    映画やゲームのコンテンツの部分、イラストや、絵画などは上記に該当しないため、意匠法上の画像に該当しません。
    (※ゲームでも、UIに関する部分は、意匠法上の画像に該当します。)

    条件2:形状、模様、色彩あるいはこれらを組み合わせていること

    登録したいもののデザインが決まっていれば、おのずと達成できる条件です。
    条件1の物品等が特定されている必要がありますので、模様や色彩そのものだけを権利化することはできず、あくまで物品等に施された模様・色彩の権利となります。
    例えば、Tシャツの意匠として、シャツの形態は特定せず模様だけを特定した意匠権を取得したとします。
    しかし、あくまでもTシャツの意匠権のため、同じ模様が印刷されていたとしてもTシャツ以外の物品等(例えばクッションやマグカップ等)を保護することはできません。

    条件3:視覚性のあるもの

    登録したいデザインが、視覚で確認できる必要があります。
    においや触感は視覚ではわからないものですので、意匠の対象にはなりません。

    条件4:美感性のあるもの

    美術作品に求められるような美観ではなく、使用者等に何らかの良い感情を起こさせればよいとされています。(「使いやすそう」「かわいい」等)
    この条件に該当しない例は、「物品等の機能を果たすために不可欠な要素しかないもの」であったり、「まとまりがなく、煩雑な印象をあたえるのみ」であったりする場合です。
    (※実際の意匠登録出願の審査において、「美観が無い」ことを証明するのは難しいため、この条件を理由に出願が拒絶されてしまうことは滅多にありません。)

    意匠権の権利範囲

    登録になった意匠権で保護できる範囲は、登録された意匠(デザイン)と同一のもの」に加え、「登録された意匠に類似するもの」も対象になります。

    ただし、類似の範囲は明確に決まっているわけではなく、登録になった意匠権が出願される前にどのような意匠が公知になっていたのかによって、類似と判断される範囲が変わってきます。

    また、法的に類似かどうかを判断するのは最終的には裁判の判決となります。

    意匠登録の条件

    登録が認められるための条件は数多くありますが、特に重要な条件を4つ紹介します。

    ①工業上利用することができる意匠であること
    ②出願日
    ③新規性を有していること
    ④創作が容易でなかったこと

    ①工業上利用することができる意匠であること

    出願する意匠と同一のものを複数製造できることが条件となっています。
    実際に複数製造しなくても、それが可能であればこの条件は満たせます。
    ただし、絵画・版画・彫刻・写真などのような純粋美術に属するものは、複数製造できるとしても意匠とは認められません。

    ②出願日

    出願日は、特許庁での審査の基準となる日です。
    この日よりも前に公知になっているデザインと比較して、「新規性」や「創作非容易性」等が判断されます。
    出願日よりも後に公開されたデザインは、審査に使用されません。

    また、偶然にも似たようなデザインが同時期に出願されてしまった場合、出願日が早い方の出願に登録となる権利が与えられます。(先願主義)
    デザインが完成したら、他の人に先を越されないようになるべく早く出願しましょう。

    ③新規性を有していること

    新規性とは、簡単に言うと出願日前にデザインが公知になっていないことです。
    意匠制度には、「デザインを保護することで創作を奨励し、産業の発達を目指す」という目的があります。
    創作を奨励するため、意匠の創作をした者に一定期間の独占権を付与することで、創作にかかった投資費用等を回収できるようにし、さらなる創作の投資につなげようというものです。

    公知になっているデザインを保護しても創作の奨励にならないため、登録の要件に「新規性」が定められています。
    また、公知になっているデザインと類似するデザインも、新規性がないものとして拒絶されてしまいます。

    なお、新規性については、一定の条件を満たす場合にのみ、公知のデザインであっても登録となる道が残されています。
    詳しくは、「関連意匠」または「新規性喪失の例外の適用」の項目をご覧ください。

    ④創作が容易でなかったこと

    新規性のほかに、出願するデザインの創作が容易ではなかった必要があります。
    「創作が容易」とは、公知のデザインやありふれた手法を単に組み合わせただけで出来上がったデザインを言います。
    例えば、公知になっている鍋の取手を、別の鍋に取り付けたデザインは、単なる公知のデザインの組み合わせと判断されます。

    一方、公知のデザインの組み合わせであっても、それらを組み合わせるという発想自体が困難な場合には、独自性が認められ創作が容易でなかったと判断される場合もあります。

    意匠登録までの期間

    一般的に、意匠出願をして、特許庁から最初の通知があるまで平均8~10か月ほどかかっています。

    出願された意匠の審査は、出願された順番にされるわけではなく、分野ごとに一定期間内に出願されたものをまとめて審査しています。
    そのため、出願した意匠の分野や出願のタイミングによっては、平均的な期間よりも待つことがあります。

    逆に平均よりも早く結果が来ることもあります。
    審査のおおよそのスケジュールは、特許庁が公開しています。

    審査の結果、登録査定が届いた場合には、特許庁に登録料を納めることで意匠権が発生します。
    登録査定の時点では、意匠権は発生していませんので注意が必要です。

    登録料を納めた後、約1カ月で登録証が発行されます。
    登録料を納付してから登録証が届くまでの間に、意匠の設定登録という手続きが行われています。
    この設定登録がされた時点で、意匠権が発生します。

    <早期審査>
    特許出願や商標出願と同じように、意匠出願にも審査を早めてもらうための早期審査制度が用意されています。
    しかし、意匠出願の場合、利用条件はかなり限られており、通常のスケジュールで審査結果を待つことがほとんどです。

    <早期審査を受ける条件>
    ・第三者から出願した意匠を模倣されている
    ・第三者から出願した意匠について警告を受けている
    ・第三者から出願した意匠についてライセンス契約等の交渉がきている
    ・海外にも出願している

    意匠登録出願にかかる費用

    意匠登録出願にかかる費用は、特許庁に収める印紙代(特許庁の手数料)と、出願人に代わって手続きを代行する代理人手数料の2種類があります。

    特許庁の印紙代

    特許庁に収める印紙代は、2022年8月現在で以下の通りです。(消費税はかかりません)

    出願料 16,000円/1意匠
    登録料

    第1~3年目・・  8,500円/1年
    第4~25年目・・16,900円/1年

    秘密意匠の設定 5,100円/1意匠

    登録料は、最初に登録した年から何年経ったかによって金額が変わります。
    最初の3年目までは、一年あたり8,500円ですが、4年目以降は16,900円になります。
    1年ごとに収めることも、数年分まとめて納付することも可能です。

    例えば、第1~5年目分をまとめて支払う場合、
    8,500円×3年分+16,900円×2年分=59,300円
    を納付することになります。

    代理人に依頼する場合、納付ごとに手数料が発生することが多いですので、長期にわたって権利を維持することが確定している場合には数年まとめて納付したほうがお安くなります。

    代理人手数料

    代理人手数料は、依頼する代理人によって変動する金額です。
    みなとみらい特許事務所は、以下の料金で意匠出願をお受けしております。

    出願時の基本手数料 88,000円 ※図面枚数が7枚以上になった場合、
    追加費用として3,000円~5,000円/1枚が発生します。
    成功報酬(登録時) 38,500円  
    納付手数料
    (2回目以降の納付時)
    14,050円/1回  

    (消費税別込み)

    他にも、利用する手続きや拒絶理由通知書への応答等費用が発生する場合があります。
    詳しくは、こちらより料金表をご確認ください。

    代理人手数料は、代理人を利用せずに出願する場合には発生しない費用となります。
    しかし、書類の内容、特に図面や写真については、権利範囲を左右する項目のため多くの様式があり、その様式を満たさないと、仮に登録になっても裁判で争う時に不利になってしまう場合があります。
    そのため、お金はかかってしまいますが、運用しやすい権利を取得するためにも、専門家に依頼するのがお勧めです。

    意匠出願の種類

    意匠出願には、いくつかの出願方法があります。代表的なものを紹介します。

    部分意匠

    物品等の全体を権利範囲として指定するだけでなく、物品の一部のみを権利範囲に指定して出願する方法があります。
    この様に、物品の一部のみを特定した意匠を、「部分意匠」と言います。

    特定しなかった部分は、類否判断(意匠権の権利範囲に含まれるかどうかの判断)において基本的に検討されない部分です。
    そのため、意匠権として特定しなかった部分が似ていなくても、意匠権として特定した部分が似ていれば登録意匠に類似すると判断されることになります。

    例えば、新しいデザインの靴底を創作し、靴の上側の部分のデザインを問わず靴底のみのデザインを意匠権にしたい場合や、Tシャツの形状は問わずTシャツに印刷される模様のみを意匠権にしたい場合などに、部分意匠が最適です。

    関連意匠

    新規性の項目で、「公知のデザインに類似するデザインは新規性が認められずに登録できない」とご説明しました。
    しかし、企業のデザイン開発の現場では、1つのコンセプトを元に複数のデザインを創ったり、既に公知の自社デザインをもとに新しくバージョンアップしたデザインを創ったりすることが珍しくありません。

    これら1つのコンセプトをもとに作られた類似するデザインが登録できないとなると、「デザインを保護することで創作の奨励する」という、意匠制度の目的に適わないとして、関連意匠制度ができました。

    以下の条件を満たす場合のみ、関連意匠制度を利用して公知のデザインに類似するデザインでも登録できるようになっています。

    • 基礎となるデザインが、意匠登録されていること(基礎意匠と言います)
    • 出願人が基礎意匠と同一であること
    • 関連意匠は、基礎意匠の出願日から、10年以内に出願すること
    • 関連意匠の設定登録時に、本意匠の権利が存続していること

    秘密意匠

    出願意匠は、設定登録がされて晴れて意匠登録となると、意匠公報として意匠の内容が公開されます。

    しかし、販売戦略上、商品の新しいデザインをお披露目するタイミングをコントロールしたい企業にとって、意図していないタイミングで意匠公報によってデザインが公開されてしまうと、売り上げに影響を及ぼしてしまう可能性が生じます。

    そこで、設定登録をした後でも意匠の内容を公開しない「秘密意匠」という制度が設けられました。
    この制度を利用することで、登録後も指定の期間内(最大3年まで)は登録された意匠の内容が公開されなくなります。

    秘密期間中は損害賠償の計算外になってしまう等、デメリットもありますので、上記のような事情が無い場合は秘密意匠を設定しない方がいいでしょう。

    なお、秘密意匠を設定できるタイミングは「出願する時」と「登録料を納める時」のみで、それ以外のタイミングで秘密意匠を設定することはできません。

    その他の手続き

    意匠登録をするためには、図面や出願人の情報を記載した「意匠登録願」という書類を提出する必要がありますが、状況に応じて他の書類が必要になることもあります。

    新規性喪失の例外

    「新規性」の項目で、公知となったデザインは原則登録が認められないとご説明しました。
    しかし、以下の2つの条件を満たす場合のみ、公知のデザインであっても登録が認められる場合があります。

    条件1:初めての公開から、1年以内に出願すること
    条件2:以下のどちらかの経緯にあてはまる場合
    (ア)意に反して公開された場合
    出願意匠を創作した人や、創作者から意匠登録を受ける権利を譲渡された人が、出願前にはデザインを公開しないと決めており、また第三者に見せる場合には「秘密保持契約」等を交わしたうえでデザインを見せていたにもかかわらず、過失などによって第三者にデザインを公開されてしまった場合に適用できる条件です。

    あるいは、脅迫やスパイ行為によってデザインが公開されてしまったときにも、この経緯で申請できます。

    (イ)意匠登録を受ける権利を持つ人の意思によって公開された場合
    意匠登録を受ける権利を持つ人がデザインの公開に関与している場合に適用される条件です。
    例えば、出願前に宣伝のために商品の画像をウェブサイトに掲載した、等があります。
    一般的にはこちらの経緯で申請することが多いです。

    <新規性喪失の例外の適用の申請方法>
    新規性喪失の例外の適用を受けるためには、「意匠登録願」に新規性喪失の例外の適用を受ける旨を記載したうえで、出願日から1カ月以内に「新規性喪失の例外の適用を受けるための証明書(以下、証明書)」を提出する必要があります。

    「証明書」には、全ての公開行為について「いつ・どこで・誰に・どのように出願意匠を公開したのか」という情報を記載しなければなりません。
    証明書に記載した公開行為については、特許庁の審査において公知資料から除外されるため、その公開を理由に新規性で拒絶されてしまうことがなくなります。

    一方、証明書に記載しなかった公開行為があった場合、その証明し忘れた公開を理由に拒絶されてしまいます。

    出願前にデザインを公開しないことがベストですが、公開した場合には証明書作成に備えて公開行為の記録を取っておくことをお勧めします。

     

    中間応答

    出願が終わると特許庁で審査がはじまります。
    審査の結果、「拒絶理由通知書」が発行されることがあります。
    「拒絶理由通知書」には、意匠登録が認められない理由と先行意匠が記載されています。

    拒絶理由を受けて、出願書類を補正したり、あるいは審査官の拒絶理由に反論をすることで拒絶理由が消えて登録が認められる場合もあります。
    拒絶理由を受けて行う対応を、一般的に中間応答と言います。

    中間応答は、応答内容に応じて費用が発生することがあります。
    みなとみらい特許事務所では、軽微な補正で解消する場合(関連意匠を設定したり、図面名を変更したり等)は追加費用無しで対応しています。
    審査官の意見に反論する場合には、55,000~110,000円(税込)の応答費用が発生します。

    意匠調査

    出願とは直接関係しない手続きですが、代理人は意匠調査のサービスを行っていることが多いです。
    一般的に大きく分けると2種類の調査があります。

    <先行意匠調査>
    主に、「意匠登録ができるかどうか」を目的とした調査です。
    代理人によって調査範囲は異なりますが、日本で登録された意匠権を対象にしています。

    実際の審査では、日本で登録された意匠権だけでなく、意匠登録なしで販売されている商品、特許や実用新案に載っている図面、また海外の意匠権等、広い範囲で調査されます。
    特許庁には、これらの情報を集めた公知意匠のデータベースがありますが、著作権の問題で特許庁以外では閲覧できないことがほとんどです。

    そのため、登録可能性についてはどうしても目安程度になります。
    必須の手続きではありませんので、先行意匠調査なしで出願をすることも可能です。

    一方、行政等の助成金を利用する場合には、助成金申請のために先行意匠調査を求められることが多いです。
    助成金採択の審査に影響すると考えられますので、このような事情がある場合には、専門家に先行意匠調査を依頼しましょう。

    <侵害回避調査:
    意匠登録をするかどうかは関係なく、販売を考えている自社製品が他者の意匠権を侵害してしまわないか否かの把握を目的とした調査です。

    意匠権侵害が成立するには、日本で意匠登録がされている必要があります。
    調査をして販売予定の製品と同一または類似する意匠が登録されていなければ意匠権侵害は成立しません。

    登録できるかどうかを目的とした調査に比べると、調査すべき範囲が明確ですので、見落としも少なく、侵害のリスクがある程度はっきりわかります。

    実際に製造し販売までしてしまってから他者の意匠権を侵害していることが明らかになった場合、製造費等が回収できないどころか損害賠償を請求されてしまう可能性もあります。
    ある程度、デザインが決まった段階で一度侵害回避調査をすることをお勧めします。

    参考リンク

    意匠法 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=334AC0000000125
    特許庁 https://www.jpo.go.jp/
    J-PlatPat(登録された意匠権の調査ができます) https://www.j-platpat.inpit.go.jp/

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