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  • 弁理士が教える特許実務Q&A◇特許庁への情報提供について①

    2020.07.14カテゴリー:

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    【質 問】
    特許調査でライバルメーカーが行っている特許出願を発見しました。
    この特許出願で特許請求の範囲に記載されている発明は、
    当業界では従来から行っていた事業、製品開発の延長線上にあるものなので、
    特許は成立しないのではないかと思います。
    ライバルメーカーの特許が成立する事を阻止する目的で、何かできることはありますか?

    【回 答】
    ライバルメーカーの特許出願が権利化されるのを阻止するために、
    先行技術文献等を提出する情報提供を行うことが可能です(特許法施行規則第13条の2)。

    この情報提供で提出された文献等は、審査官の審査に利用され、
    拒絶理由通知の引用文献として有効活用されることもあります。

    情報提供は誰でも行うことができます。
    そして、希望すれば提供した情報の利用状況について
    特許庁からフィードバックを受けることができます。
    また、情報提供は匿名での提出も可能です。
    ただ、匿名で提出した場合、このフィードバックを受けることができないことには、留意が必要です。

    ◇提出することができる情報◇
     権利化を阻止したい出願に対し、特許要件(新規性、進歩性等)を
    満たさないことを示す情報を、書面で提出することができます。
     公開公報等の先行技術文献だけでなく、雑誌や、業界紙(誌)、発行日を確定できる
    宣伝・広告物、インターネット上の情報なども刊行物として提出することができます。

    ◇情報提供を行う時期◇
     情報提供は、特許出願後の特許について、何時でも行うことができます。
    基本的には、権利化前の特許出願に対し、情報提供を行います。

     特許出願に対する情報提供は、一般的には出願審査請求が為された後に
    行う方がよいとされます。
    通常、出願された特許出願のすべてが審査請求される訳ではありません。
    そのため、出願審査請求前に情報提供を行ってしまうと、
    その特許出願がまさに他社に注目されており、
    特許するに値する出願であることを特許出願人に示し、
    かえって権利化を後押しすることになりかねないためです。

    ◇特許出願人への通知◇
     情報提供があった事実は特許出願人に通知されます。
    情報提供によって特許庁に提出された刊行物は、閲覧申請を行うことで、
    出願人を含む誰もが内容を知ることができます。

    ◇まとめ◇
     情報提供制度を有効に活用すれば、ライバル企業の特許取得を阻止
    できる可能性が向上します。情報提供は、短期間・低コストで他社の
    権利化を阻止できる手段ですので、積極的な利用をお勧めします。

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